サーブ

サーブがインになる範囲

 まずはサーブをどこに打つのか?から始めます

図1のように赤マルの位置からサーブを打ったとすると、自陣のコートとネットをノーバウンドで通り過ぎ、相手コート対角線上のノンボレーゾーン(NVZ)ラインとエンドライン、センターラインとサイドラインの間に囲まれた範囲、赤い斜線を引いた部分にボールが落下すればINになります(コートの各名称についてはコートを見てください)

と言っても赤斜線部分(サービスコート)の緑の範囲に落ちれば明らかにINという事はわかりますが、ライン上に落ちた場合はどうなるのか

これは落ちたラインによって変わるので詳しく説明していきますが、そもそもボールの落下地点とはどのように判断するのでしょうか 

テニスの場合はボールが柔らかいので床に落ちた時、ボールは扁平して面で接すると考えます

図2のように、テニスの試合でホークアイと言われるビデオを利用した判定映像を見たことがないでしょうか

圧縮されつぶれたテニスボールの面がラインにかかって入ればINになります

しかし、ピックルボールの場合、プラスチックでできているボールはテニスボールに比べて硬いので、床とは点で接すると考えてください(厳密にいえば1円玉くらいの面で接地しているのでしょうけど)

このボールと床の接点がどこかでIN・OUTを判断します

図1

図2


●エンドエンドライン・センターライン・サイドラインの場合(青色はコートの外・緑色はコートの中)

図3

図4

図5


図のようにボールと床の接点を赤い点とすると、サイドライン、センターラン、エンドラインの場合、図3のように接点が緑の範囲に落ちれば当然IN、図4のようにライン上に落ちてもIN、図5のようにラインより外の青い範囲に落ちればOUTになります

●ノンボレーゾーンラインの場合(茶色はノンボレーゾーン)

図6

図7

図8


図6は当然INなのですが、上記の3つのラインとは違い、ノンボレーゾーンラインに関してはラインを超えて緑の範囲に落下しないとINにはなりません

図7のようにライン上ではOUT(フォルト)になります

ちょっとややこしいですが、通常、ライン上はINになりますが、サーブの時のノンボレーゾーンラインだけはラインを超える必要があると覚えてください

サーブに関するルール

ピックルボールのサーブのルールとしてまずは打ち方について規定されています

サーブの打ち方は2種類あります

アンダーハンドサーブとドロップサーブです

ピックルボールをプレーしたことがある方は、ある程度サーブについての決まり事を知っているとは思いますが、意外と細かい点までは知らずにサーブを打っていることが多いかもしれません

もしかしたら知らず知らずのうちに動作違反しているかもしれませんよ

動作違反した場合、違反の種類や公式試合か非公式試合の違いによりリプレイになったりフォルトになったりと細かく決まっています

いずれにせよ、ルールに則ったサーブを打ってることが基本ですね

では2種類のサーブ、どちらにも細かいルールがあるのでそれぞれ解説していきます

 

●アンダーハンドサーブ(単にアンダーサーブとも言う場合もあります)

アンダーハンドサーブはすぐにイメージできると思いますが、片手で(片手しか使えない人はパドルで)放り投げた(リリースした)ボールを、文字通り下から打つサーブです

このサーブには3つの重要なルールがあります

 

アンダーハンドサーブのルール①

「パドルでボールを打つときに、腕は上向きの円弧を描かなければならない」

・・・・?

って感じの日本語ですが、USApickleballのルールブックに基づいているので、ちょっとわかりづらい表現です

つまり言いたいことはパドルを下から上に弧を描くように動かしてボールを打たないといけないという意味です

逆に言えば真横にパドルを振ったり、上から下に振り下ろしたりしてはいけないという事でしょう

解釈の仕方によれば真横より少しでも腕先が下に下がっていて、そこから上向きに打てばルール①の範囲内ではOKとなりそうですが、実際には次のルール②や③があるのでやはりルール違反になると思われます

 

アンダーハンドサーブのルール②

  「ボールを打つとき、パドルヘッドの最高点が手首の最高部より上にあってはならない」

これもよく意味が分かりませんが、図のように絵で見るとわかりやすいと思います

サーブを打つインパクトの瞬間、パドルヘッド(パドルの持ち手以外)の一番高い位置となる部分が手首の関節の付け根(赤い点)より下でないといけないという事です

このルールに反するサーブを打つ人は意外と多いのではないでしょうか

強いサーブを打ちたくて、知らず知らずのうちにパドルが横向きになってしまっている場面をよく見かけます


アンダーハンドサーブのルール③

  「ボールとの接触は腰より上であってはならない」

ちょっと直訳すぎて意味が分かりませんが、言っていることは実にシンプルです

サーブをするとき、ボールがパドルと当たる位置(つまりインパクトの瞬間のボールの位置)が腰より下でないといけないという事です

図のように腰のラインを赤い線で描いた時、その線より下でボールを打っていればOKというわけです

このルールは皆さんよく知っているので、違反している人はあまりいないように思います

ですが腰と言っても漠然としているし、へそを基準とすると言われたりもしますが、服を着ていたらよくわからないし、結構大雑把なルールだなと思います(個人的見解ですが)

以上がアンダーハンドサーブの特徴的なルールですが、もう一つのサーブであるドロップサーブはまた違うルールが適用されるので見ていきましょう

●ドロップサーブ

ドロップサーブは床にボールを落として、バウンドした後に打つサーブです

ドロップサーブにはアンダーハンドサーブの3つのルールは適用されません

バウンドしたボールを上から下に向かって打とうが、パドルが上向きだろうが、腰より上で打とうが、問題ありません

ですが、ドロップサーブにもやはり独特のルールがあります

 

ドロップサーブのルール①

「ボールを自然落下させる」

片手でボールをつかみ、手のひらを下に向けた状態から、指を開いて自然落下させなければなりません

ボールを落とすとき勢いをつけて落としたり、上に投げたりしたら違反になります

手のひらを上向きにしてボールを置き、手首をかえして落とした場合も違反です

つまりボールに加速がつくような行為をしてはいけなくて、あくまで手のひらを下向きにしてボールをつかみ、指を開いて、加速がつかない状態で落下させないといけないようです

(パドルを使って落とす方法もあるようですが、ドロップサーブであればやはりパドルから自然落下させないといけないでしょう)

バウンドした後の打ち方には制限はなく、極端な話、しゃがみこんで上から打っても構いません

ただ、どんなに手を伸ばして上の方から自然落下させても、ピックルボールのボールはあまり跳ねないので、現実的にはアンダーハンドサーブとあまり変わらない打ち方になるのではないでしょうか

とはいえパドルを上から下向きにスイングしてもいいので、テニスのスライスを打つときのような打ち方は出来るかもしれませんし、考えようによっては他にもいろんな可能性がある打ち方かもしれません

 

ドロップサーブのルール②

「ボールを落とす位置やバウンド回数は自由」

ボールをバウンドさせる位置はコート内でもコート外でも問題ありません

ただ後ほど説明しますが、サーバーの立ち位置には制限があるので間違えないようにしてください

サーバーが正しい位置について落下させたボールのバウンド位置がたとえコート内だったとしてもルール違反にはなりません

またバウンドの回数に制限はないので、ワンバウンドでも2回バウンドさせても3回でも4回でも構いません

ただ、バウンド回数が増えればそれだけボールは低くなっていき、打ちにくくなるばかりでメリットはないように思います

しいて言えば意表をつくくらいでしょうか

 

以上がドロップサーブ独自のルールです

この他にも共通のサーブに関するルールがあるので、いくつか代表的なものを上げていきます

サーバーの立ち位置

サーブを打つとき、コートの中やベースラインに触れてはいけない

またサイドラインとセンターラインの仮想延長上のライン(図の赤線)にも触れてはいけない

サーバーの足

サーブを打つとき少なくとも片足は床についていないといけない

つまりジャンプして両足が床から離れた状態でサーブはしてはいけないという事でしょう

ボールのリリース

ボールをリリースするときに故意に回転をかけてはいけない

以前はチェーンソーサーブというボールを指ではじいてスピンをかけたり、パドルフェイスやグリップにこすってスピンをかけたりしながらボールを上げ、打つときさらにパドルでスピンをかけるサーブの技がありました

相手コートでバウンドするときに右や左に変化して、リターンするのがかなり難しいサーブです

ですが2022年にルール改正が行われボールをリリースするときに故意にスピンをかけてはならないという規定が加えられたため、このチェーンソーサーブはルール違反となりました

ドロップサーブでもアンダーハンドサーブでもリリースの際は片手でボールを離さないといけないわけですが、そっとリリースしても自然に回転はかかったりすることはあります(全く無回転でボールをリリースすることは不可能でしょう)
したがって、ボールをリリースする際に、ボールが自然に回転したのか、故意にスピンをかけたのかの判断が出来るよう、公式試合では審判にリリースの様子が見える必要があります

サーブ前のコール

サーブを打つ前にカウントをコールする必要があります

コールしながらサーブを打つ人がいますが、必ず先にコールをして、そのあと一呼吸あってからサーブをしないといけません

ただし一呼吸と言っても、コール後10秒以内にサーブは打たないといけないので気を付けてください 

カウントを大きな声でコールすることにより、相手もそのカウントに間違いがないか確認して、その後サーブ、そしてラリーへと続いていきます

レシーバーはもしカウントが間違っていると思ったら、サーブが打たれる前か、少なくともサーブを打ち返す前に指摘しないといけません

カウントだけでなく動作違反やポジションの間違いなども同じです

セルフジャッジの試合などでは、そのままラリーを続けて、そのラリーが終わってから間違いを指摘しても、納得したうえでサーブを打ち返したんだろうと相手に押し切られてしまう可能性があります

お互いトラブルを起こさないため、サーブ前に必ず大きな声でカウントコールして、一呼吸おいてからサーブを打つようにしてください

フォアハンド・バックハンド

サーブを打つときはアンダーハンドサーブでもドロップサーブでもそれぞれのルールに反しない限り、フォアハンドで、バックハンド、どちらでもサーブを打っても構いません

レットについて

テニスではサーブを打ってネットに当たったのちに相手のサービスコートに入った時は「レット」とコールされ、もう一度サーブのやり直しになります

ピックルボールでも以前はレットを採用していましたが、現在はサーブしたボールがネットに当たっても、そのボールがサービスコートに入ればインプレーとしてラリーを続行します

つまり「レット」の規則はありません

もちろんサーブボールがネットに当たってサービスコートに入らなければサーブ失敗としてフォルトになります

余談ですが最近はテニス界でも「ノーレット」ルールが採用される場面が多くなっていると聞きます

時間短縮のためや当たった当たらないの判断の難しさなどが理由だそうで、今後ノーレットが正式に採用される可能性もあるようです(反対の声も多いようですが)

 

その他細かいルールはいろいろありますが、以上のルールをしっかり守っておけばひとまずは問題ないかと思います